子犬を家に迎えた際に、必ずマスターしなければならないのは、トイレトレーニングです。
しかし、トイレでの排泄は、短時間で簡単に習得することはありません。そのため、「粗相が多い」「トイレへうまく誘導できない」など困っている方は多いのではないでしょうか。
そこで、本記事では、子犬のトイレトレーニングのやり方を解説します。練習を始める時期やしつけのポイントについても紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。
子犬のトレーニングは、家に迎えたその日から始めましょう。
迎えたばかりの子犬は、トイレを把握していないため、自由に排泄します。「排泄はどこでしてもいい」と考えてしまうと、トイレの習得に時間がかかるでしょう。
人間と同様に、犬も一度習慣化してしまうと、その習慣を修正するのに時間がかかります。自由に排泄するという習慣がつかないうちに、トレーニングを始めましょう。
トイレを習得するまでの期間は、個体差があります。早いと約1週間、遅い場合は1ヵ月以上かかるケースも少なくありません。
ペットメディカルサポート株式会社が行ったアンケートによると、1ヵ月未満でトイレを習得したのは全体の19%、1~3ヵ月未満は40%となりました。この結果から、トイレを覚えるまでの期間は、3ヵ月程度を目安にしておくとよいことがわかります。
3ヵ月を過ぎても習得できないときは、練習方法やトイレの環境が合っていない可能性があります。原因がわからない場合は、一度専門家に相談することを検討してみてください。
参考:PR TIMES「愛犬・愛猫のトイレトレーニング 4割以上が効果あり:ペット保険「PS保険」調べ」
子犬の失敗が多いと悩みを抱えている飼い主さんは多いのではないでしょうか。
子犬が失敗するときには、以下のような6つの原因が考えられます。
それぞれの原因について詳しくみていきましょう。
愛犬が粗相するとき、トイレの場所を理解できていないケースがあります。犬は特定の場所で排泄する習慣がない動物です。そのため、繰り返し教えないと、成功させることは難しいでしょう。
しかし、繰り返し練習すると、犬はトイレを習得できます。根気強く練習に取り組みましょう。
排泄がペットシーツからはみ出てしまう場合、スペースが狭い可能性があります。
犬は、くるくると回ったあとに排泄します。スペースが狭いと下半身だけペットシーツから外れ、失敗するケースは多くあります。
トイレの大きさは、犬の体の2~3倍が理想的とされています。成犬になっても使いやすい大きさのスペースを用意しましょう。
排泄のタイミングを見極められないと、失敗につながります。
子犬は成犬よりも排泄の回数が多いのが特徴です。排泄しそうな様子を見逃すと粗相の回数が増え、トレーニングに時間がかかることが予想されます。
地面のにおいを嗅いだりソワソワしたりする行動がみられたら、必ずトイレに誘導しましょう。
犬は寝床の近くで排泄をしない習性があります。そのため、寝床や生活スペースの近くのトイレは使用しないケースも少なくありません。トイレは、ケージからできる限り離れた所に設置するとよいでしょう。
留守番が長いときは、ケージ内にトイレを設置する必要があります。できる限り広めのケージを用意して、寝床から離してトイレを置いてみてください。
また、寝床から離れていても、人通りが多く騒がしい場所への設置は避けたほうがよいでしょう。
粗相を怒られた経験のある犬は、飼い主さんのみえない所で排泄をします。
粗相を叱ると「排泄自体がいけないことだ」と思い違いをするケースが少なくありません。
飼い主さんの目の前で排泄しなくなると、粗相が増えると考えられます。練習が進まない原因となるため、叱らないように心がけましょう。
犬は、トイレの場所をニオイや経験で覚えていきます。そのため、ニオイが残っていると、失敗を繰り返す可能性が高くなります。
たとえば敷物の上で排泄をした場合、きれいに掃除したつもりでも、ニオイが取り切れていなければ、粗相につながります。
粗相をした敷物は、子犬の飼育スペースから取り除くことをおすすめします。
子犬が失敗する原因を理解したら、次は実際にトイレトレーニングを実施していきましょう。
トレーニングには、下記のようなアイテムが必要です。
迎え入れたばかりの子犬は、ペットシーツやトレーの上で排泄することを理解していません。始めはサークルでトイレのスペースを区切り、サークルの中にペットシーツとトレーを置きましょう。
サークルの大きさは、犬の体の2~3倍を目安に選んでみてください。
また、おやつはトレーニングのごほうびとして使用します。子犬でもひと口で食べられるボーロや小さめのジャーキーなどのおやつを用意しましょう。
必要なアイテムを揃えたら、実際にトイレトレーニングを始めていきましょう。
トレーニングの手順は、下記のとおりです。
愛犬の性格や飼育環境によって、思うように進まないこともあります。しかし、トイレトレーニングに焦りは禁物です。ここで紹介する手順を参考に、根気強く取り組んでいきましょう。
まずは、子犬が失敗しにくいトイレの環境を作っていきます。
寝床から離れたスペースに、ペットシーツとサークルを設置します。初めはサークルの全面にペットシーツを敷き詰めましょう。ペットシーツを広く敷き、できるだけ排泄をしてもよい場所を広く確保して成功率を上げます。
排泄する場所がある程度定まってきたら、徐々にペットシーツを取り除きましょう。
愛犬が排泄しそうなときにトイレに誘導します。始めは、飼い主さんが抱っこして連れていきましょう。
子犬が排泄しやすいタイミングの一例は、下記のとおりです。
また、周辺のにおいを嗅いだり、落ち着かない様子がみられたり、腰を落としたりしたら排泄のサインです。素早くトイレに連れていきます。
子犬は体が小さく、一度におしっこを溜められる量が少ないため、排泄回数が多くなります。生後半年頃までは1時間ごとに連れていくことをおすすめします。
10分ほど様子をみて排泄しない場合は、一度サークルの外に出します。その後、愛犬の様子をしっかり観察しながら、約10~15分後にもう一度トイレに誘導してみてください。
トイレでおしっこまたはうんちができたらよくほめましょう。ほめるときにはごほうびを与えると、より効果的です。
ただし、時間が経ってからほめてもなぜほめられたのか伝わらない可能性が高くなります。そのため、すぐにほめることがポイントです。
ほめたあとは、愛犬をサークルから外に出します。ほめて外に出すことを繰り返すと、「おしっこをしたらごほうびをもらえて自由に遊ぶことができる」と学び、スムーズに練習が進むでしょう。
ペットメディカルサポート株式会社が行ったアンケートでは、トイレの習慣をつけるために最も効果的だった方法は、「成功したらほめる」と全体の44%が回答しています。アンケート結果からもほめることの重要性がわかります。
まずはステップ2とステップ3を繰り返し実施し、排泄する習慣を学習させましょう。
参考:PR TIMES「愛犬・愛猫のトイレトレーニング 4割以上が効果あり:ペット保険「PS保険」調べ」
成功回数が多くなってきたら、トイレを指示するコマンドを教えます。
始めは、おしっこまたはうんちの最中にコマンドを繰り返し伝えましょう。何度も練習すると、コマンドだけでトイレに促せるようになります。
コマンドは、1つに絞ることがポイントです。複数のコマンドは、犬が混乱する原因となるため、避けたほうがよいでしょう。「オシッコ」「ワンツー」など、わかりやすいコマンドを使用してみてください。
最後は愛犬が自発的にトイレにいくように練習します。
まずは、愛犬が自由に出入りできるように環境を整えます。トイレのサークルは、常に扉を開けておく、または撤去して自由に出入りできるようにしておきましょう。
愛犬がおしっこをしそうなときに、コマンドを使ってトイレに誘導します。コマンドで誘導できない場合は、おやつを使用するのも1つの方法です。
ステップ5までができるようになり、粗相がなくなったらトレーニングが成功したと考えてよいでしょう。
犬の性格や飼育環境によって、トイレを習得するまでの期間は大きく異なります。しかし、ポイントを知ると、スムーズにトレーニングを進められます。
気をつけたいポイントは、下記のとおりです。
それぞれのポイントについて、詳しく解説します。
トイレの練習中は、粗相をしても大声でどなったり、叩いたりしてはいけません。
粗相を叱ると、犬は「おしっこやうんちをすること自体がダメなこと」と考えます。その結果、叱られないように、飼い主さんがみえない所で排泄するようになるでしょう。
粗相をみつけたときには、叱りたくなる気持ちを堪えて、黙って片付けましょう。
トイレは、場所を吟味して設置しましょう。
犬は排泄中に無防備になるため、静かで周りからみえにくいトイレを好みます。反対に、周りからみえる開けた所や騒がしい所は、落ち着いて排泄できないといえます。
愛犬が頻繁に粗相をしたり、トイレに近づかなかったりするときは、環境を見直してみてください。
犬は基本的にきれい好きな性格をしています。そのため、犬によってはペットシーツが汚れている場合、トイレを使用しない可能性があります。
とくに柴犬などの和犬は、自分の生活スペースを汚したくないという気持ちが強く、清潔なトイレしか使用しません。できる限り汚れているペットシートを交換しましょう。
子犬の場合、1回のおしっこの量はそこまで多くありません。そのため、大きいペットシートではなく、小さいペットシートを何枚か敷いて、汚れたシートのみ交換すると掃除の手間が省けます。
トイレを習得させるには、成功体験を積み重ねることが大事です。
成功する回数が多いほど、飼い主さんからほめられる機会が多くなり、練習がスムーズに進みます。
実際に日本大学大学院総合社会情報研究科が行った研究では、成功するたびにほめたりごほうびをあげたりなどの強化子を与えると、トイレでの排泄行動が学習されたという結果が出ています。
1日の排泄回数が多い子犬の時期こそ、成功体験を積み重ねるのに最適な時期です。しっかりほめることを意識しましょう。
トイレを完璧に覚えるまで、犬は寝床以外のさまざまな場所で排泄すると考えられます。飼い主さんは、愛犬が排泄しそうな仕草やタイミングを見逃さないようにしっかり見守らなければなりません。
飼い主さんが目を離したすきに、カーペットやソファの上で粗相をするケースは少なくありません。失敗を習慣化させないためにも、成功率が上がるまでは注意して見守りましょう。
最後に、トイレのしつけに関する4つの疑問に回答します。
ここで疑問を解決し、さらにトイレの成功率を上げましょう。
A.オスとメスで練習方法に違いはありません。
ただし、オスは生後半年頃から足を上げておしっこをするのが一般的です。
足を上げておしっこをする場合は、一般的なトレーでは周辺を汚してしまいます。L字型のトレーを用意したり、壁にペットシーツを貼ったりとおしっこが飛び散らないような工夫が必要です。
A.共働きは難易度が上がりますが、トイレの習得は可能です。
飼い主さんが留守の時間が長いため、お世話をする人が常にいる家庭よりも難易度は高いといえます。しかし、根気強く練習すれば、必ず習得できるでしょう。
また、共働きの家庭ではうんちを踏み荒らしたり、食糞したりなどの問題が起きやすくなります。練習時間を確保するのが難しい場合は、シッターなどの活用を検討してみてください。
A.成犬でも習得できます。
ただし、子犬よりも習得に時間がかかると考えられます。成犬のトレーニングは、排泄場所を変更しなければならず、犬を混乱させます。できる限り混乱させないように、少しずつ新しいトイレに慣れてもらう必要があるでしょう。
時間をかけて教えることを意識して取り組んでみてください。
A.室内でもおしっこ・うんちができるようにしておく必要があります。
外での排泄が習慣化している犬は、室内でおしっこやうんちをしなくなります。天気が悪い日や飼い主さんの帰宅が遅い日は、室内で我慢をさせることになるでしょう。
また、散歩中にアスファルトやコンクリートの上でおしっこをすると、嫌なニオイの原因となります。災害時やお出かけのときなど、室内で排泄できないと困るケースもあるため、室内の決まった場所で排泄できるようにしておきましょう。
対処法は、室内で排泄させたあと、散歩に出ることです。毎日実施すると室内での排泄が習慣化し、外でも室内でも排泄できるようになります。
家に迎え入れたばかりの子犬は、トイレの場所を把握していません。ペットシーツやトレーの上で排泄するルールを知らないことも多いため、飼い主さんが何度も教えて習得させる必要があります。
トイレの練習では、「成功体験を積み重ねること」と「失敗を予防すること」を意識しましょう。粗相ができないような環境を作り、成功したらよくほめることが大切です。
根気強く練習することで、年齢や犬種を問わず必ずマスターできます。焦らず愛犬のペースで進めていきましょう。